足元に目を向けよう、自然が遊んでくれる

子どもは自然が大好きだ

パンジーの可能性は無限大

今年もこの季節がやってきた。“ツマグロヒョウモン”の季節が。

私が勤める園では、毎年春に取引銀行さんからパンジーの苗が沢山届く。見た目も可愛いし、新園児を迎えるのに丁度良いので、園庭の畑やプランターに植える。まぁ、ここまではよくある光景かもしれない。他園でも春に花壇の植え替えをして華やかにするのはよくあると思う。

ただ、うちの園での扱いはちょっと違う。花というよりは虫。

パンジー等のスミレの仲間には“ツマグロヒョウモン”という蝶が卵を産みに来るのだ。この蝶はオレンジ色に白と黒のまだら模様の羽をもつ。とても目立つ蝶だ。蝶が飛んでくるだけでも子どもたちは大喜びだ。しかも卵がかえると幼虫が沢山葉につく。

この幼虫はとても特徴的な見た目をしている。ぱっと見、“毒がある?”と思うほど毒々しいビジュアルをしている。しかも食欲旺盛で成長も早い。子どもたちは、日に日に大きくなる姿に興味深々だ。そして極めつけはサナギ!

まるで金属のようにメタリックな斑点があるサナギなのだ。

そんな生き物に毎年子どもたちは夢中になる。よい遊び相手だ。

とにかくたくさんつくので、子どもたちは触るし捕まえるし、飼育する。時には残酷な扱いをする時もある。でもそれが自然だ。そうやって子どもたちは自然の不思議さと命の儚さ、尊さを体験する。

最近、人の痛みを考えられない子どもが増えたと聞く。

多分、幼少期からこのような体験に恵まれてこなかったんだろうと思っている。

教科書や活字、映像でどうやって人間の感受性に訴えて、痛みを知ることができるのだろう?無理じゃないだろうか。

そういう意味で言うと、私が大好きな自然遊びは本当に大切だ。

保育で意図的に自然に触れる機会を作り、荒れていた子や友達関係で困っていた子が落ち着き、生き生きしていった事例をたくさん見てきた。

自然にはすごい力がある。どんな育児書よりも。

“地球の美しさと神秘さを感じ取れる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活の中で苦しみや心配ごとにあったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけ出すことができると信じます。”(レイチェル・カーソン)

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